冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「今日はパパと寝よう。寝る前に歯磨きだ」
「はぁい」
幼児の小さな歯を丁寧に磨くのも、なかなか難しい。胡坐をかいた脚の上にごろんと仰向けにさせ、小さな歯ブラシを歯にあてる。
たまに「いはい(痛い)」と成優に言われつつも、苦労して歯が綺麗になると、やはり気持ちがいい。
「じゃ、寝かせてくる」
「ありがとう。なんだか今日はいつも以上に優しいですね」
成優を連れて寝室へ行こうとすると、ドアの前まで見送りに来た芽衣が、感謝の意を示すように優しいキスをくれた。
日常のさりげない瞬間に、きちんと「ありがとう」が伝えられる彼女は本当に心が美しいと思う。
さらに、不意打ちのキス。そんなことをされたら、成優を寝かせた後で今夜も……と欲が出そうになるが、それでは寝かしつけを代わる意味がない。
「大したことはしていないよ。芽衣はゆっくりしていて」
「ママ、おやすみ」
「うん、おやすみなさい」
成優と手を繋いで寝室に移動し、並んでベッドに入る。
「パパとねるのひさしぶりだね」
「そうだな。今度からは、もっといっぱいパパと寝よう」
「うん! パパおっきいからあったかくてすき」
布団にもぐり、ぐりぐりと胸に頭を押しつけてくる成優に、『うちの子はなんでこんなにかわいいのか』と、親ばかな思考が炸裂する。
そのまま成優とくっついてたわいのない話をしているうちに、成優だけでなく俺の瞼も重くなる。
シャワーを浴びていないが……明日の朝でもいいか。
少々だらしないと自覚しつつも、俺は幸せな気持ちで眠りに落ちた。