冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
花嫁のベール

 七月二十四日、日曜日。至さんと成優に『どうしても聞きたい心理学の講演があって』と言って家を出てきた私は、緊張しながら電車に乗り、ある場所へ向かっていた。

『お久しぶりね、芽衣さん。……至の母です』

 今月に入ってから、突然かかってきた、至さんのお母様からの電話。

 番号は過去に伝えたことがあるとはいえ、こちらからはお母様の番号を登録していなかったので、知らない番号からの着信を不思議に思いつつも深く考えず電話に出た。

『至に内緒で、会えないかしら? どうしても、あなたとふたりで話がしたいの』

 電話口でそう言われた瞬間、お母様に心無い言葉をぶつけられた過去の記憶が蘇る。

 あの時と同じように、私と至さんを別れさせようとしているのだろうか。

 当時はお母様が精神的に不調だったため、本人というより病がひどいことを言わせているのだと思い込み、なんとか自分の心を守った。

 でも、もしそうじゃなかったとしたら? 私を気に入らないのはお母様の本音で、面と向かって直接『至と別れて』と言われてしまったら……。

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