冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「お、お母様……!?」
「どうか、謝らせてちょうだい。私は三年前、あなたにとてもひどいことをした。謝っても許してもらえることじゃないかもしれないけれど……本当に、ごめんなさい」

 まさか、お母様の方からあの時のことを謝罪されるなんて……。

 どちらかというと傷つく覚悟で来ていたのに、予想もしなかった展開が訪れて驚きを隠せない。

 でも、お母様の気持ちに嘘や偽りがないことは、深々と頭を下げたまま動かない姿から伝わってくる。許さないなんて選択肢は、私の中に少しもなかった。

「お母様、頭を上げてください」

 私は自分もソファから降りて彼女のそばに膝をつく。そして、ゆっくり顔を上げたお母様の背中にそっと手をあて、微笑みかける。

「あの時は、お母様自身がとても苦しい状態だったのでしょう? 至さんの存在が、何よりの支えだった。彼を失いたくなかった気持ち、わかります」
「芽衣さん……」
「今、私も同じ気持ちです。至さんを失ったらと思うと、胸が引き裂かれるように痛むんです。だから、今日はたとえお母様に反対されても、引き下がるつもりはありませんでした。……それほど、彼を愛しています」

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