冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「知らない間に結婚指輪まで……本当に用意周到ですね」
「二度ときみに逃げられないようにするためだ」
グローブを外して至さんに手を取られた瞬間、ゲストに聞こえないようにこっそりそんな言葉を交わした。
独占欲の滲んだ彼の発言にクスッと微笑み、お互いの左手薬指に指輪を通した。
拍手とカメラのシャッター音を浴びていると、司会者が「では、誓いのキスを」と式を進行する。思わずドキッとしていたら、至さんが私に問う。
「芽衣、サンドイッチ・キスは知っているか?」
「いいえ」
「俺たちで成優を挟んで、それぞれ両側のほっぺにキスするんだ。それなら芽衣も恥ずかしくないだろう?」
「はい。いいですね、家族らしくて」
成優にもやり方を説明してから、至さんが成優を抱っこし、ふたりでそのやわらかな頬に唇を寄せる。成優はくすぐったそうに肩をすくめつつも、「ふふっ」と笑ってうれしそう。
「これからもよろしくな、成優」
「大好きよ、成優」
夫婦でそんな言葉をかけると、成優は照れた顔を隠すようにして、至さんにギュッと抱きついた。