冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
笑顔の絶えない式が終わり、成優を親族に任せてゲストたちを見送っていたら、会場から遅れて出てきた蘭さんが、背中を丸めて苦しそうにしていた。
付き添う三船さんはオロオロしながら、彼女に声をかけている。
「蘭ちゃん、陣痛タクシー呼んだからね。あとちょっと頑張って」
「うん……ありがと。いたたたっ」
私と至さんは目を見合わせ、思わず彼らに駆け寄った。私はそばにあった椅子に蘭さんを座らせ、至さんが三船さんに事情を聞く。
「三船さん、もしかして蘭さん……」
「陣痛がきてるみたいなんだ。どうしよう郡司~! 色々対策調べたはずなのに、今頭真っ白! 男ってマジで無力……」
今にも泣きだしそうな三船さんに、至さんも困惑顔。パパとして先輩とはいえ、出産に至るまでの流れは知らないものね。
でも、対策を色々調べていたなら、陣痛に効くアレは持っていないだろうか。こんな時まで持ち歩いていないか……。
「三船さん、テニスボールはお持ちじゃないですよね? 陣痛を逃すのに使えるんですが」
ダメもとで尋ねてみたら、三船さんがハッとする。