冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「芽衣は、あれにひとりで耐えて成優を産んだのか……」
出産間近の蘭さんを目の当たりにして、色々とショックだったみたいだ。
確かに出産は大仕事だけれど、成優もすでに三歳だし、私自身は陣痛の痛みなんてすっかり忘れている。
「ひとりと言っても、プロの助産師さんがそばにいてくれましたから。テニスボールのことも、その時に教わったんです」
「でも、心細かっただろう?」
「それはそうですけど……でも、成優の命自体、至さんから授かったものですから、逆に心強くもありました。この子がいれば私は頑張れるぞって」
「芽衣……」
至さんの目が、眩しいものを見るように細められる。彼は思わずといった感じに私の腰をぐっと引き寄せ、誰もいない廊下で私の唇をふさいだ。
「きみは、どれだけ俺の心を掴めば気が済む?」
唇を離した後、額をこつんと合わせて至さんが言う。誓いのキスは成優を介してだったので、急に男性的な色香を纏った彼にどぎまぎして、心臓が暴れる。