冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「こんにちは。少し、お話よろしいですか?」
身長は一七〇センチ程度、明るいゴールドアッシュの髪は短いツーブロック。
にこやかな笑顔、整えられた口と顎の髭。一般の男性が着たらお笑い芸人のように見えてしまいそうな淡いピンク色のスーツを上手に着こなしている。
その垢抜けた雰囲気に、ファッション業界の人だろうかと想像を巡らせつつ、私は「はい」と微笑んだ。
「僕は難波と申します」
「観月です」
お互いに名刺を交換し、ジッと見つめる。
彼の名刺にはお洒落な英字のロゴで【Beauty Company N】と書かれていて、その下に【代表取締役 難波狩】とあった。
「会社を経営されてるんですか?」
「ええ。小さいですが、代官山と表参道に美容室を。観月さんもぜひご来店ください。僕の名前を出していただければサービスしますので」
「ありがとうございます」
難波さんが優しそうだったので初対面の緊張も次第に解け、私も自分の職業について、彼に聞かれるまま話した。
「へえ、スクールカウンセラー。確かに、そんな雰囲気だ。穏やかで聞き上手な感じがする」
「それほどでもないですよ。相手は高校生なので繊細なところも多くて、うまく話を引き出してあげられないこともあります」