冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
大切な娘との生活

 ふわり、鼻先を春の風がかすめて、私はまぶたを開けた。網戸にしてある窓のカーテンが、そよそよと揺れている。

 ぼんやりしながら寝返りを打つと、娘の成優(なゆ)はまだ気持ちよさそうに眠っていた。

 至さんとの別れからもうすぐ三年。あの時身ごもっていた成優を無事出産した後も、私は相変わらずひとりで育児をしている。

 成優の顔のパーツは私に似ている部分が多いが、ツンと尖った綺麗な鼻は至さん譲り。柔らかなほっぺは布団で潰れ、ちょっぴり不細工になった寝顔が愛くるしい。

「三時か……。成優が起きるまえに自分の支度を済ませておこう」

 スマホで時間を確認して呟くと、私は畳の上から起きあがった。

 ここは、至さんと別れてすぐに引っ越してきた、小さなアパート。

 小さなダイニングキッチンに和室のついた1DKで、母子ふたりで暮らすのに不自由はない。成優の保育園や、職場である私立高校・幾望学園からも徒歩圏内という便利な立地だ。

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