冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
崎本くんはばつが悪そうに頭をかくが、得体のしれない足音の犯人が顔見知りの生徒だったとわかり、胸をなで下ろす。
「もう、てっきりチカンかと思ったわよ。それで、こんな時間にどうしたの? 学校では言えない悩み?」
「まぁ、ある意味そうかも。……改めて、芽衣ちゃんに告白しにきたんだ、俺」
崎本くんの眼差しが真剣なものに変わり、私は半開きにしたままだった玄関のドアを、思わず後ろ手に閉めた。
これは、成優に聞かせてはいけない話だ。やっぱり、学校ではぐらかしたのがよくなかったんだ。崎本くんは私との距離を一歩詰め、語りかけてくる。
「年の差とか、生徒とカウンセラーとか、邪魔なもんはいろいろあるけど、俺は芽衣ちゃんが好き。だから、芽衣ちゃんも俺を恋愛対象として見てほしい」
高校生だって、本気で恋をする。崎本くんの目を見れば、その気持ちに疑いようはない。
世間の物差しでその気持ちを抑えつけさせたり、物わかりのいい大人のフリで受け流してもダメだ。
私も正面からぶつからないと、彼だって納得するわけがないよね。