冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
「学園長、観月先生を連れてまいりました」
部屋の前で、教頭がノックと共に呼びかける。すぐに「どうぞ」と返事があり、私は教頭に促されて中に入った。
学園長は正面の大きなデスクに座り、いつもの穏やかな笑みを湛えている。
「お呼びでしょうか……」
おそるおそる口にして足を進める途中、学園長のデスクの前に立つ男子生徒が目に入った。見慣れたその姿はカウンセリング室の常連、崎本くんだった。
「崎本くん?」
どうして彼までここに?
私の呼びかけの反応して振り向いた彼は、悔しそうに唇を噛んですぐに目を逸らした。
私が崎本くんの隣に並ぶと、学園長がゆっくり口を開く。
「食事中にお呼び立てしてすみませんね。少々、気になる噂を耳にしたものですから」
「噂……ですか?」
「ええ。ここにいる崎本くんと、観月先生。おふたりが、不純異性交遊しているのではないかというような」
「ふ、不純異性交遊?」
思いもよらない疑惑に、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
どうしてそんな、身に覚えのない噂が?
呆然としていると、背後にいた教頭がそっと私の手元にスマホを差し出す。