冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「観月先生……自分の仕事に誇りを持ってらっしゃるのはわかりますけど、なにがあったか話してくれないんじゃ私たちもかばいきれません。生徒たちの噂にはどんどん尾ひれがついていて、彼がカウンセリング室に足繫く通うのも、あなたといかがわしいことをするのが目的じゃないかと言われてるんですよ?」
「そんな……」

 中途半端な写真を取られてしまったことが、余計に生徒たちの興味に火をつけてしまったのだろうか。

 どうしよう。私のせいで崎本くんの将来に傷がついたら――。

「俺が悪いんです!」

 その時、崎本くんが初めて沈黙を破った。彼は体の脇でギュッと拳を握り、泣き出しそうな声音で話しだす。

「全部俺が悪いんです……俺が、芽衣ちゃんのこと、好きになっちゃったから」
「め、芽衣ちゃん?」

 教頭が即座に疑いの目で私を見た。この流れではそうなるのも仕方がないだろう。

 崎本くんの想いは本物だから、私から否定することもできない。
 
 室内が異様な空気に包まれる中、学園長はただまっすぐ、崎本くんを見つめている。

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