冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 自宅謹慎……。いきなり懲戒解雇、なんてことも一瞬覚悟したのでそれよりはよかったが、首の皮一枚で繋がっているだけだ。

「……はい」

 返事をしたのは私だけ。崎本くんの心境を思うとやりきれないけれど、これ以上彼と個人的に話すことはできない。

 学園長室を出た私たちはひと言も言葉を交わさず、彼は教室へ、私は職員室へと、それぞれが戻るべき場所へと戻った。


「えっ、自宅謹慎!? 観月先生はなにも悪いことをしていないのに、ですか!?」

 職員室に戻り、その場にいた先生方に経緯を説明すると、草野先生が気色ばんで処分に不服を訴えた。

「疑われるような写真を取られてしまったのは事実ですし……きっと、保護者を納得させるにもなにかしらの処分は必要だったのだと思います。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

 草野先生だけでなく、周囲の先生方にも頭を下げる。皆、気の毒そうにしながらも処分は仕方がないというような反応で、昼休みの終わりが近づくにつれ、私の周りから散っていった。

 最後に残った草野先生は、未だ納得していない様子で言い放つ。

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