冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「僕からも、学園長に進言してみます。観月先生は生徒に手を出したりするような人じゃない。いつだって生徒の気持ちを第一にしている、立派なカウンセラーだと」
「ありがとうございます。でも、お気持ちだけで十分です」

 善意で言ってくれている彼には申し訳ないが、そんな主観的な意見では学園長を納得させるのは無理だろう。悔しいけれど、処分は受け入れるしかない。

 私は荷物をまとめ、学校を出る。こんな時間に職場を放り出されて、どこへ行けばいいのだろう。

 ……そうだ、保育園。自宅謹慎の間は、家庭保育ということになるのだろうか。

 自宅謹慎の理由が理由なだけに、保育園に事情を説明するのも気が重い。このまま学校に復帰できなかったら、成優は退園になるのだろうか。いや、次の仕事を探すのが先……?

 ぐちゃぐちゃな頭の中を整理しながら、保育園までの道をとぼとぼ歩く。

 園の建物が見えてくると同時に園庭からにぎやかな声がして、なにげなく覗いたら、遊んでいたのは偶然成優のクラスだった。

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