4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪榊side≫



俺がトイレから戻ってくると1人で待っていたはずの結衣の側には人が集まっていた。


榊「悪い。待たせた。」

結「あ、おかえりなさい!」

そこに居たのは一緒に遊んでいた子どもたちだけではなく、いつも結衣と学校連んでいる不良達もいた。

榊「えと…たまたま会ったの?」

結「うん!!」

真「じゃ、連れも来たみたいだし、うちらはもう行くわ。」

結「真央ちゃん、紗希ちゃんありがとね!」

紗「あんた、結衣の執事っしょ。出来るだけこの子から目を離さないようにしてあげてよ。」

彼女らは俺にそう言い残して去っていった。

結衣がなぜこの人たちと友達なのかはよくわからない。

ただ、互いを大切にし、思いやり、そんないい関係の友達なんだとこの時ようやく俺は理解した。


結衣の兄貴はこの事にもっと早く気付いていたんだろうな。


榊「そろそろ行くか。俺らも。」

結「そうだね。」

榊「ってか。俺がトイレ行っている間なんかあったの?」

結「んーん!大丈夫だよ!」

榊「そうか。」

そう言って立ち上がった瞬間、結衣が少しふらついたように見えた。

でも…彼女は笑顔で話を続けている。

気のせいだったのだろうか…。




榊「とりあえず…なんか飲み物でも飲むか。」

結「うん!喉乾いちゃった!」

榊「そりゃあんだけ炎天下の下で遊んでりゃな。」

結「えへへ~。」


俺らはその後カフェに入ると結衣はアイスティー、俺はアイスコーヒーを飲み少しその店で涼んだ。

榊「いいな、お前は。心配してくれる人がたくさんいる。」

結「そう…かな。私は少し戸惑ってしまうけど。」

榊「戸惑う?自分のためにしてくれるんだからそれに甘えてればいいだろ。」

結「私今まで1人だったからなぁ。」

榊「1人…。」

俺だってそうだ。

でも結衣は違うだろう。

家庭環境はどうであれ、彼氏でも友達でも…。

このルックスでこの性格なら出来ない方が不自然だ。



結「…私。矢神さんに引き取られる前は本当に1人だったの。」

俺の心を読み取ったかのように結衣はそう言った。

榊「でも…友達だっていただろう。」

結「友達…真央ちゃんと紗希ちゃんは特別だけど…。今までは…知らない間に傷つけちゃってるのか恨まれることの方が多くて。」

榊「恨まれる?お前が?それは逆恨みではなく?」

結「どうだろう…。」

榊「男子もか?冷たくされたのは。」

結「あ、んーん。でも…みんな気づいたら避けるようになってたんだよね…。」


それを逆恨みって言うんだよ…。

ルックスが良すぎると言うのも…いいことはないんだな。


俺は結衣と話しててそう思った。


こんなにいい子がこんな大変な環境にいるのはなんだかあまりいい気はしねぇな。


だからこそ俺はこの仕事をもっと全うせねばならないのか。



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