4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪大雅side≫






太「琉生も落ち着いたみたいだし俺帰るな!」

大「うん!ありがとう!」


太「あれ?結衣ちゃんは?」

大「あ…さっき部屋に…。」


太「そっか…ちょっと帰る前に挨拶だけしていきたいんだけど部屋どこ?」

大「あ、案内しますよ!」


帰り間際に挨拶がしたいと言ってきた太陽くんを俺は結衣の部屋まで案内することになった。


結衣の部屋の前まで行くとノックをしてみる。


あれ、返事がないな。
寝てるのか?


大「結衣?入るぞ?」
 
俺たちが部屋に入ると結衣は眠っていた。


大「ソファーなんかで寝て……」

太「挨拶して帰りたかったけど寝ちゃってるならしょうがないな。」


大「泣いてる…」

それにいつもと様子がおかしい。
なんか…苦しそう。


太「ん?結衣ちゃんちょっとごめんね。」

太陽くんは眠っている結衣に話しかけながら聴診をし出した。

太「発作か。呼吸もだいぶ浅いな。結衣ちゃん少し体横向きにするね。少し指借りるよ~」

大「結衣…」


太「意識あるな…結衣ちゃん、焦らなくていいからゆっくり呼吸しようか。」


処置をしている太陽くんはとても冷静で素早く落ち着いている。


かっこいいな。








あれから琉兄が結衣のために用意していた予備の吸入器を吸わせると結衣はだいぶ落ち着いていた。


俺はただそれをみていることしか出来ないのであった。











大「結衣…起きたか?」

結「大雅兄。あれ、太陽さんは?」


大「もう帰ったよ。それより具合は?」

結「うん!もうすっかり!心配かけて、ごめんなさい。」



大「本当に無理すんなって…」

結「無理してないよ。」


大「なんで発作になった時点で言わねぇんだよ!!こっちがどんだけ心配したと思ってるんだよ。」

結「……ごめんなさい。でも本当に突然で……」


大「言い訳すんなって!!」

なんで怒鳴ってるんだよ、俺。


結「……」

大「俺らが絶対に助けるって思ってる。何度も何度も。それなのに分からねぇのか?」


結「そーゆーつもりじゃ……」

止まらない。

心配と不安で押しつぶされそうだ。

こんなはずじゃないのに。



結衣は泣いていた。



大「なんで…もっと頼ってくれねぇんだよ…。もういいや。俺部屋に行く。」


結「待って!!」


俺はいつの間にか結衣の部屋を飛び出していた。


何でこんなこと言ってしまったんだろう。

でも嫌だった。

結衣が具合悪くてとても辛そうで。

それなのに俺は何も出来ない。


何もしてあげれない。


助けてあげられない。


もし結衣になんかあったら…なんて考えるととても怖くてしょうがない。



一番、弱いのは…俺なのかもしれねぇな。











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