4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪結衣side≫




熱を出した。


私がお母さんを拒否したあの日からお母さんは帰ってこない。


きっと私が嫌になったんだ。


熱を測りたいけどこの家には体温計なんてなさそうだ。


胸が痛いし熱でふらつくし、水分を取るのもしんどい。



私はゆっくりと目を閉じた。

早く治れ。早く治れ…。

するといつの間にか夢の世界へと誘われた。








『こっちがどんだけ心配したと思ってるんだよ』

『俺らが絶対に助けるって思ってる。何度も何度も。それなのに分からねぇのか?』




大雅兄が怒ってる。

前に喧嘩をした時の言葉だ。



たしかにどんな時も助けてくれた。

この前だって………













目が覚めたとき私は泣いていた。



そして気付けば携帯を握っていた。



大『もしもし…』

結「大雅……ゲホゲホ…兄…」

こんな時に限って咳が邪魔して喋れない…。


大『結衣?!』


結「……いたい。ゲホゲホ……」

大『どこが痛いんだ?大丈夫か?』

…違う。違うよ。

どこも痛いわけじゃない。

ただ…。



私が本当に伝えたいのは…






結「大雅兄に……会いたいっ。」



涙が止まらない。わがままを言ってしまった。


きっと呆れるだろう。



私がそう言った瞬間電話は切れた。







あぁ…やっぱり今度こそ嫌われた。


言わなきゃよかった。




私は今までにないほど後悔した。






私から家を出るなんて言ったくせに。

自分勝手にも程がある。


いくら優しい大雅兄だって…

嫌になるよね。



もう…嫌になってきた。

こんな自分。


でも熱のせいか、起き上がることも出来なさそうだ。


昨夜から食事は疎か、水分さえもまともに取れていない。

このまま目を瞑ったら死ねる気すらしてくる。





それからしばらく経った時だった。





ピンポーン。ピンポーン。

部屋のインターホンが鳴った。




でも体がもう…動かないや。

すると私の携帯がなった。

通話ボタンは押せたが喋れない…。


すると再びインターホンが押されたと思ったらガチャガチャと聞こえ始めた玄関。






< 50 / 190 >

この作品をシェア

pagetop