4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪大雅side≫




次の日。

俺は朝早くから結衣の病室へと行った。

結衣の部屋は個室だからほかに迷惑になる人はいない。


大「結衣!」

結「たいがにぃ…」

そう言ってくる結衣は少し弱々しい声だった。

目の下にはクマが出来ていて顔は少し青ざめていた。



大「もう起きてたのか!」

俺がそう聞くとコクリと頷く結衣。



大「具合はどうだ?」

結「大丈夫だよ。」

大「そうか?そんな辛気くさい顔して。」

結「だって…」

大「入院生活って辛いよなー。牢獄みたいだし、喘息だと怖い夢みるし、検査もいっぱいあるし…」

俺がそう言うと結衣は少し驚いた顔をした。



すると…

看「矢神さん、血液検査しますね。」
 
血液検査をしに看護師が入ってきた。

その瞬間強張る結衣の体。

大「あーちょっと待って!それ今じゃなきゃダメ?」

俺は結衣の気持ちを汲んで待ってもらおうと試みるが…

看「ダメです!」

 
あっさり断られてしまった。
だが諦めない。


大「じゃあその前に琉兄呼んできて!」

看「え!?」

大「お願いお姉さん!」

そう言うと少し照れた顔をして看護師は病室を出て行った。


それからしばらくすると琉兄が来た。


琉「呼んだか。」

大「血液検査もうちょっと待ってよ。」

琉「んー。でも必要な検査だからな…。あ、お前も受けるか?」

大「えっ何で俺が…」

琉「お前もしばらく受けてないだろ。」

大「……分かった。じゃあ結衣、俺と一緒に受けようよ。」

そう言うと結衣はコクリと頷いた。

琉「じゃあ準備してくるな。」


琉兄は準備するために病室を出た。


大「じゃあ結衣が血液検査頑張れたらご褒美やらないとな。」

結「……ご褒美?」

大「うん。実はな…」

俺は用意しておいた水族館のチケットを見せた。

いつか誘おうと思って用意しておいたやつだ。

大「退院したら2人で行こ!」

そう言うと結衣は嬉しそうな顔をした。



琉「準備できたぞ。」

大「じゃ、俺からやる。」





琉「はい、終わったぞ。」

大「おう。結衣は?出来そうか?」

結「…うん。やってみる。」

大「偉いな!」

俺が頭を軽く撫でると少し結衣は嬉しそうに笑った。
そしてすぐ不安そうな顔になり……

結「大雅兄……手…繋いで…欲しい。」


と言ってきた。

結衣のその一言に思わず言葉を失う。

甘えてる結衣…可愛すぎる。


琉「じゃ、刺すな。」

結「痛い…やっぱりやめるーっ」

大「痛いな。すぐ終わるからな。」

琉「終わったぞ。」

大「頑張ったなー!結衣!」


結局泣いてしまった結衣だったが琉兄が部屋を出て行った後、俺がチケットを渡すと少しばかし笑顔が見えた気がした。





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