4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪大雅side≫





兄妹だった。結衣と。










その事は知りたかった気持ちと知りたくなかった気持ちと半々だ。


だって本当の兄妹と知ってしまったら…


俺の気持ちは自信を持って伝えられる気がしないから…





でも…結衣は俺の話を聞いて涙してくれた。



それは俺や母さんへの同情の涙では無く、同じ思いをした自分の気持ちと俺の心を守ってくれるような…

そんな涙だった。




大「ごめん…泣かせて。」

結「んーん。でも私…。私はもっと大雅兄の事知りたいって思えたよ。」


大「結衣…。」


結「私…今までたくさん大雅兄に守ってもらった。たくさん色々聞いてもらった。だから…だから今度は私がもっと大雅兄の話を聞いたり守ってあげられる人になりたい。」


結衣はまっすぐな瞳でそう言った。











俺は今まで他人をどこか軽蔑していた。


結局人は裏切るんだろう。

そんな思いが邪魔をして…。









でも俺は初めて結衣の眼鏡を外した姿を見た時…

完全なる一目惚れをしたんだ。




今まで自分以外の誰かをここまで大切に思った事はなかった。

琉兄、秀兄、瑛人兄の事は、兄弟だから仲良くはしていたけど…

真実を知ってから俺はどんどんと人として落ちぶれていった。


簡単にブチ切れるようになり、色んな人を殴り倒す日々。


殴ろうが殴られようが痛いのか痛くないのかも分からないような感覚。





もしかしたら本当に痛いのは心だったのかもしれない。







でも結衣と会って少しずつ変わった。

自分への腹だたしさで殴っていた手は結衣の頭を撫でたり、結衣を守ったりするために使い、

悪態ばかりついていた口も結衣を励ましたりするために使った。



俺の人生は何だったんだろうと思う気持ちは今では

結衣に出会うためにこんなに悲壮な人生を歩んできたんじゃないかと思う。


父さんのことは今でも憎い。

そしてこれからも。


でも結衣もそんなアイツの血を引き継ぐ1人。

だけど…

その被害者でもある。



あんな男の娘が好きなんて言ったら母さんはあの世であまりいい思いはしないんじゃないか。




……そんな事思うはずがないか。

なんなれ今まで散々親不孝なことしてきた。

それに優しかった母さんの事だから。

きっと喜んでくれるよな。




ごめん。母さん。

ありがとう。

俺人生で初めて好きな人が出来たよ。


その子は色んな悩みを抱えていてとても弱いけどとても強い子なんだ。


そんな彼女をこれから守っていきたいって決めたんだ。


どうか許してほしい。







そしてこれからも見守っていてほしい。


俺は結衣の事一生守ってやりたいから。




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