4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪結衣side≫



結「聞いてないーっ!!」


私は玄関に向かって走った。
すると……

大「ただいま~」

突然玄関が開き、帰宅した大雅兄に抱きついてしまった。

太「大雅ナイス!!」

大「え?なに?鬼ごっこ?」

目を見開いて驚いていた。
そして少し屈んで私に目線を合わせると優しく頬を触った。

大「どうした?なんで泣いてるの?」

結「だって……ヒック…」

太「インフルエンザの予防接種しようとしてたんだ。」

泣きすぎて喋れてない私の代わりに太陽さんが説明をしてくれた。


大「なんだ。そーゆーことか……。」

そう納得したように言うと大雅兄は私を抱っこし始めた。

結「やだぁ……っ」

すると耳元で小さい声で大雅は

大「大丈夫…大丈夫だよ。」

と優しく言いながら背中をトントンと叩き始めた。

その優しさに私はいつの間にか涙が止まり落ち着きを取り戻した。



そして私の部屋に行くともうすでに打つ気満々の琉生お兄ちゃんが居て、私はまた再び大雅兄にしがみつき泣き始めた。


すると大雅兄は私をベッドに下ろすと自分が椅子に座り

大「まず俺からして。」

と言った。

琉「分かった。」

と言って打ち始める琉生お兄ちゃん。


そして終わると大雅兄は自分の膝に私を私を乗せ、私の袖を捲り始めた。


結「やだっ。」

大「大丈夫だよ。すぐ終わるから。それに打たずにインフルにかかれば合併症になったりして予防接種なんかより余計痛い思いをすんのは結衣だよ?」

結「……」

大「力抜いてじっとしてれば痛みは最小限で済むけど動けば余計痛いだけだよ。それは結衣次第だけど……」

結「分かった……」


私がそう返事をすると早速消毒をし始める琉生お兄ちゃん。

消毒液のツンとした匂いが鼻につく。


琉「まだ力入ってるな。」

太「結衣ちゃん一回深呼吸しようか。」

結「ぅん……グスン。」


私が泣きながらそう言うと大雅兄は一緒になって深呼吸をしてくれ、口を開いた。

大「あ、そういえば俺さ…今さっき西条と話してきたんだ…。」

結「え?」

大「ちゃんと話を聞いてきた。色々と。」


わざわざ?
大雅兄が…??


大「アイツ色々抱えてた。だからちゃんと聞いて話せて良かったよ。アイツも反省してた。」

結「そっか…良かった…。本当に良かった。大雅兄ありがとう!!」




琉「終わったぞ。」

結「え?」

大「結衣、頑張ったな。」

そう言って頭をポンポンと撫でてくれる大雅兄。

正直言って全く気付かなかった。

大雅兄の話に聞き入っていた。

あまりにもあっさり終わっていたことに驚きを隠せない私。






琉「全く…。大雅にはかなわねぇな。」

太「結衣ちゃんがこんなにも変わっちゃうんだもんな。」

ビックリしていた私にはその言葉は聞こえていなかった。


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