ヒコウキ雲の恋〜悠夜編〜
「嘘つくんじゃねぇよ。人間、傷つかないヤツなんていねぇんだよ…だいたい、医者がそんなこと言ってもお前が死ななきゃいいんだよ。」
気づいたら
俺は中井を抱き締めてた…
「お前は、病気と闘わなきゃいけねぇんだよ…まだ決まったことじゃないんだから勝手に決めつけんな…」
「…せ、先生ぇ?ないてるの?」
涙目になりながら俺を腕の中から見上げた中井は目を見開いてそう言った。
「見んな。俺、今お前に説教してんだぞ?」
ぎゅっとさっきよりも力を強くして中井の腰に手をまわした。
「…ごめんなさい…」
素直に謝る中井に
参っちゃって
「いいよ…もぉ。」
と、簡単に許してしまった。