ヒコウキ雲の恋〜悠夜編〜
―――…
『先生。はい…』
まだ陽が眩しいころ、
中井が不意に俺に一枚の白い封筒を差し出した。
『ん?何…?』
封筒を受け取って見ると中井に顔を向けた。
『えっ?何って手紙だけど??』
スラッとそんなことを言える中井は大人だ…
『手紙?』
『そう!手紙!だからね?今、あたしの見えない所で読んでほしいの…』
どうして
俺は、気付かなかったんだろう…
これが中井と会話するのが最後だったなんて…
俺が側にいてやれれば
少しは気楽になれたのにな…