ヒコウキ雲の恋〜悠夜編〜




「ん?」








「あたし、助からないかも知れないんだって……」


















カッシャァァンッッ!!!



中井のその言葉と同時に何かが割れる音が聞こえた。



俺は、病室から顔を覗かせてさっきの音の原因を探した。






「どういうことですかぁ!??娘は助かるんじゃないんですか?!!」


まだ冷たい水と、無惨に散りばめられた花瓶の欠片。

そして、中井のお母さんの怒鳴り声。





ただ廊下に散りばめられた花瓶の欠片をじっと見つめることしかできない中年男性の医者。


俺は慌てて病室のドアを閉めた。




「せ、先生?どうしたの??」


声がした方を向くと不思議そうな顔付きで中井は俺を見上げていた。


「あ、あぁ…いや?なんでもない。」


苦笑いしながらまたパイプイスに腰をおろした。




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