『request』短編集
知りたい聞きたい喋りたい!
そんな事を思いながら蒼空さんを見つめるのだけど、
「ほら、」
「あっ、ちょっと!見えません!!」
「は? 何が」
「はっ!!」
また自分の世界に入りかけてた!!!
突如目の前に傘のようなものを掲げられたから、蒼空さんの顔が見えなくなっちゃってそんな事を言ってしまった。
「すすすすすいません!!!特に意味はなくて……わっ!」
ポンッと頭に軽く何かを当てられたかと思えば
「それ使え」
「え。やっ、でも…!!」
「いいから」
持たされた物は、黒色の折り畳み傘。
「気をつけて帰れよ」
頭を撫でられるかと思いきや、それはただの私の妄想であって。
蒼空さんは私に触れようとはせず、雨の中行ってしまった。