『request』短編集
文化祭当日。
「お姫様カフェやってま~す」
宣伝用にお姫様みたいなドレスを着てチラシを配る。
なんか思ってたより動きずらいなぁ~
重いし、暑いし。
絵本の中のお姫様はみんなこんな思いで着ていたのかなって。さっさと王子様が迎えに来て欲しいくらい。
(ユーヤは……)
考えても、無駄か。
行く気無さそうだったし。
もはやめんどくさいみたいな。
「………………」
ギュッとチラシを持つ手に力が加わる。
ちょっとくらい
この姿見て欲しかったなぁ。
「亜美ちゃん、休憩行っていいよ」
「うん、分かったぁ」
チラシ配りを友達に代わって、休憩へ。
もしかしたらユーヤ来てくれるかも。って勝手な想像をしていたから友達と出店を回る約束を断った。
だから、今のこの時間は一人ぼっちで、
どこかの空き教室で休憩することに。