『request』短編集
「亜美。」
「んー…」
薄らと目を開ける。なんだか身体を揺さぶられている気がして目が覚めた。
今、何時だろう…
休憩もう終わってるんじゃ……
虚ろな目で時計のある方に視線を当てる。
だが、
瞳に映るのは
時計ではなく
「やっと起きた」
「っ!」
いつもみたいに困った顔をする
「いつまで経っても起きないから、毒リンゴでも食べちゃったのかと思ったわよ」
亜美の大好きな王子様。
「………なによ?私の顔に何か付いてる?」
言葉が出なかった。
……ううん、見惚れてた。
「ユーヤ…なんで女装してないの?」
今日のユーヤはちゃんと男の姿なんだもん。