『request』短編集
『みんなお疲れ~!!!』
夜になり、いよいよ宴会がスタート。
(みんな浴衣姿だしなんだか新鮮!!!)
いつもはみんなスーツ姿なのだから、私服からの浴衣姿なんてレア中のレアであって。
その中でもいっっちばん輝いてる人。
(さすが人気者…近寄れない)
蒼空さんの周辺に集まる先輩達。
話しかけようとはせず、ただ近くに行ってチラチラと蒼空さんに視線をあてながら意識している様子。
(蒼空さんってなんでも似合うんだなぁ…)
視力の良い私には例え遠くにいようとも、ハッキリと見える蒼空さんの姿。
その浴衣姿に遠くから萌えまくった。
結局宴会中は近くにも寄れず、話しかけれもせず終了を迎えた。
けれどそんなことにしょげている場合ではなくて。
「先輩…!部屋までもう少しですからね!頑張って下さい!!」
「んー…もう飲めないよぉ~…勘弁してぇ…」
「大丈夫ですよ!飲ませてませんから!!」
この会社で下っ端の私は猛烈に酔ってしまった先輩を部屋まで連れていくという仕事がある。
社員旅行とは言ってもそーゆー仕事はあるっちゃあるのだ。
「先輩!着きました!!着きましたよ…!!」
「んんー…ここ計算間違ってるわよ…やり直し」
「(次は仕事の夢ですか!!)」
泥酔している先輩を敷かれた布団に寝転ばせると、むにゃむにゃと眠りについていった。
「づがれだぁ…」
私も倒れるようにして身体を布団の上へ。
ちなみに泥酔している先輩3人を宴会場からこの部屋まで運んだ。
「酔いすぎですよみなさん~…」
お酒のなにが美味しいんだろう…
すぐに酔ってしまう私にとっては、美味しさが分からない。まだ舌が子供ってことなのかな?