『request』短編集
(汗かいちゃった…)
お風呂は宴会前に入ったんだけど、3人を運んだだけあって、汗で身体が少しベタついてて気持ち悪い。
「お風呂入ってこよっと~…」
寝ているみなさんを起こさないようにと、ゆっくりとこの部屋を出る。
時刻はもう夜遅い時間。
そのためお風呂場には誰もいなくて、この広い温泉を独り占めできた。
やっと心を落ち着かせられる、そんな時間を過ごせたのだけど……
「えっ。」
お風呂上がり。
時計の針は0時になる少し前。
(蒼空さんがいる!!!!)
フロント近くのソファーに座る蒼空さんの姿を見つけた。
しかも、周りにはさっきまで密集していた先輩方はおらず、1人でそこにいる!!!
「蒼空さん!」
無意識に声を掛けちゃうと、
蒼空さんは肩を軽く跳ねさせて
「……なんだ、葵か。」
どこかホッと安心したような、そんな顔を見せてくれた。