『request』短編集
「あの……私もここに座っていいですか?」
「どーぞ。」
「やった!失礼します!!」
蒼空さんと向かい合うように置かれたソファーへ腰掛けると、蒼空さんは携帯を片手にいじり始め、私はその姿を眺めてた。
(浴衣姿…良い。すごく良い!!この近さで見れるなんて!!お風呂入りに来てよかったぁあ!!)
「………何やってんの」
「へっ!?あ、ちょっと神様にお礼を…!」
「あ、そう…」
手を組んで神にお祈りのようなことをしていれば、案の定蒼空さんには変な目で見られてしまった。
けれど少し経てばクスクスと笑い声。
「お前ってちょっと変わってるよな」
「え、どこがですか!?」
「今のもそうだし、コピー機の印刷毎回100枚印刷するし、ロビーでガチめのストレッチし始めるし。俺今までいろんな人に出会ってきたけど、葵ほど変わってるやつは初めてだわ。」
「!!」
初めて…
「それは喜んでもいいやつなんですか!!」
「さぁーな」
そしてまたクスクスと笑う。
「でもまあ、毎日楽しませてもらってるよ。」
本当に楽しそうに
心の底からの笑顔で。
その笑顔を見た途端に私の心は猛烈に熱くなって…
" 触れたい "
その欲が私を掻き乱す。