『request』短編集
恐る恐る視線を当ててみる。
「そ、そらさんっっ!?」
「おはよ」
「おはようございます…!」
慌てて立ち上がり、頭を下げようとするも…
「あ、れ…?」
フラッと目眩がして、崩れるようにまたベンチへと座り込む。
「おい…ジッとしてろ」
「で、でも…私置いてかれて……」
「もう俺がいるから大丈夫だ」
柔らかく、穏やかな微笑み。
ほら……そうやって優しくされると、好きになっちゃうんですってば…
「探しに来てくれたんですか…?」
「そーだけど、お前がいないことに真っ先に気づいたのは泉でここにいるお前を見つけたのも泉。で、その泉は今飲み物を買いに行った。」
淡々と説明してくれた、私がここで寝ている間の出来事。
(泉くん、すっごく良い人じゃん…)
人に関心のない人だと思ってたのに。
イヤフォン付けるし、無表情だし、そそくさと歩いて行っちゃうし。
「お前なぁ…体調悪いならちゃんと報告しろ」
「えっ、私体調悪いんですか!?そっか…だからやけに眠いし息切れするわけだ…」
「いや気づけよ」
呆れたように溜め息をつく蒼空さん。
だけど、自分の体調に気づいていたとしても
「言えるわけないですよ…。昨日あんなことしちゃったんですから……」
「………………」
「蒼空さんに合わせる顔ないし…」
今のこの状況だって相当気まずいし…
だけど神々しく見えるのは変わらず。
隣からオーラをビンビン感じてます。