『request』短編集
「蒼空さんは意図も簡単に恋に落とさせる魔人です…!!まずは顔が美しすぎます!!これからはお面か何かつけて出勤してください!!」
「ただの変人じゃねーか」
「寧ろ変人くらいがちょうどいいです!!そのくらいしないといつまで経っても寄って来ますよ女性が!!!」
「元気そうだなお前」
こうやって今まで通りに喋られることが、
葵は何より幸せなんです。
「あっ。葵さん起きたんだ」
私達の間に流れる和やかな空気感の中で、スポーツドリンクを片手に持ってやってきた泉くん。
「ありがとう泉くん!!!私を見つけてくれたんでしょ!?なんとお礼を言えばいいか…!!」
「うん。いいからさっさとこれ飲んで」
「おおっ…!ありがとう泉くん!!」
受け取り、ゴクゴクとスポーツドリンクを飲み込む。
「後でお金返すね!」
「いいよもう。いちご大福のお礼」
「あっ、そっかいちご大福…」
それは蒼空さんに渡すはずだった物。
だけど、もういいや!
「蒼空さん!知ってますか!!」
「なんだ?」
「旅館の近くに有名ないちご大福のお店があるんですよ!あそこのいちご大福他と比べ物にならないくらい美味しくって!!甘い物好きの蒼空さんなら絶対気に入りますよ!」
「………、へぇー…」
やっぱり!食いついた!!
ほんと甘い物大好きだよね蒼空さんって。
再びその事実に気付かされるとなんだか笑ってしまう。
「今度奥さんと来た時にでも行ってみてはどうですか?」
「……そうだな。そうするよ」
「まあ私は泉くんと美味しくいただきましたけどね!!!!」
「自慢すんな」
「(羨ましいんだろうな~)」
前にも増して話せる会話。
緊張もなく話が出来て、ホントもうっ最高に幸せです!!!