『request』短編集
「分かったからっ……早くどいてよ」
居心地が悪そうに
しかめっ面を見せる浅川くん。
うわっ、眩しい!!
この近さで初めての顔を見せないで!!
「あのね!浅川くん!!」
「……なんですか」
「私、もう1つ夢があるんだけど!!
あ、その夢は将来の──」
「将来の夢の方の夢の話でしょ」
「そう!そっちの話なんだけど!!」
「うん」
あ、段々目が慣れてきた。
近い距離。
私よりも背の高い浅川くん。
私を見下げるその顔は困っていながらも優しい目で。
「下の名前で呼び合いませんか?」
夢から始まった夢のようなお話。
これからもそんな夢の話をしていこう。
この物語が終着する、その時まで。
Dream or dream
~完~
「陽菜……………さん」
「あー!今イイ感じだったのにー!!
さん付けだけどそれでも嬉しい!!!」
「じゃあ逆に陽菜……さんは、言えるの?」
「もちろんだよ!!!湊…………くん」
「ダメじゃん」
「い、言えるもん!!み、みにゃ…」
「ふはっ。湊すら言えてないし」
「ぎゃーーー!眩しい!!!」
「いや、だからその目なに」