『request』短編集
(はぁ……やるか)
再びパソコンを前にして企画書を進める。
あと何時間かかるんだろ……早く帰りたい。
「うわぁ…難しそうな仕事……」
「……………………」
「もうこんな仕事任されてるとか泉くんスゴすぎ!!!」
「ねぇ……」
「そんなに早く打てるの!?
私まだ人差し指しか使えてないよ~」
「葵さんっ……」
カチッと今開けている画面をしまうと「あっ」なんて残念がる声が降りてくる。
その声の持ち主は俺の隣で上から画面を見下ろす葵さんだ。
「邪魔しないでくんない…?」
「ごめん!つい気になっちゃって…!
……でも、本当に凄いね。
あんなに立派な企画書早々作れないよ」
「お前に何が分かるんだよ…未だに作ったことないくせに」
………あ。しまった。
言ってはいけないことを、言った。