『request』短編集
近づく距離③ ー葵編ー



近付く距離③ ー葵編ー








(ん……あれ…どこ?ここ……見覚えないなぁ…)





寝起きでボヤける視界。

見える景色は見覚えのない場所。



ふかふかのベッドはここから出たくないと思えるほどで、身に覚えのあるこの香りがなんだか心地良い。





(えーー…と、なんだっけ?確か鍵をなくして、それで…)






「…………、っ!?ここ!!!!」






ガバッと倒していた身体を起き上がらせる。





ここ!!泉くんの家じゃん…!?





あわあわと慌てふためいていると
近くで「ん…」と声が聞こえた。





「い、いいいい泉くん…!?!?」


「ん…?………あぁ…、おはよう…」


「おはよう!今日も良い天気だね~…ってそうじゃなくて!!!」






ウトウトとどこか幼くて、
まだ眠たそうに目を擦る泉くん。




どうやら朝に弱いみたい。


< 164 / 225 >

この作品をシェア

pagetop