『request』短編集
そして泉くんは何事なかったかのようにキッチンに向かう。
背中に回された腕。
引き寄せられた身体。
ふわりと香る、泉くんの匂い。
(な、に……?これ……)
……胸が痛い。
苦しい。
身体が熱い…?
「わ、わたし…風邪引いたかもしんない!!!」
「え?」
「ごめん!帰る!!!」
「は? ちょ、葵さん!?」
「服洗って返しますーーーー!!!」
床に置いていたハズのスーツはなぜか宙に浮かんでいて、泉くんがわざわざハンガーに掛けてくれたんだなー!!って気づいただけでもなんか胸が痛い!!!
なんなの!?なんなのこれ!!やだ!!
おかしい!おかしいよ私…!