『request』短編集
「なっ……」
「どうしたの?赤くなって。その料理辛い?」
「ち、違う!そうじゃなくて…」
「うん?」
「…………優がそんなこと言うから」
「いつも言ってるじゃん。そろそろ慣れてよ」
「慣れないよ! だって…」
顔を手で覆い隠す華。
綺麗な指が俺の瞳に映る。
その中でも一際輝く、左手の薬指。
「好きな人に言われたらときめいちゃうじゃん…」
キラリと輝くシルバーリングは
俺のものだという証。
「華」
「なに…」
「可愛い」
「っ!恥ずかしいからやめて…!」
「はいはい」
どこに居ても、何をしていても絵になる彼女。
真っ赤に頬を染めるその姿も変わらず愛おしい。