『request』短編集
「……………」
「……………」
だが、会話することなくお互いに視線を逸らす。
「今からパレード始まるみたいなんですけど良かったら一緒に観ませんか?」
「え!行きたい!!」
くるりと俺の方へ顔を向けた華に俺は軽く首を傾げた。
「優、いい?」
「うん。行っておいで」
「優は行かないの?」
「俺はここで待ってるよ」
すると今度は華が首を傾げる。
「疲れちゃった?」
「人混みがちょっとね。
でも大丈夫だから。行ってきな」
「…うん。分かった!」
俺の顔を見てどこか心配そうに眉を下げていた華だけど、ニコリと笑って見せればその顔にも笑顔が浮かぶ。