『request』短編集
「……俺は変わったよ」
「へえ」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
そしてまた沈黙が訪れた。
微かに聞こえてくるパレードの音。
……今頃華は楽しめているだろうか?
俺のいない所でも笑顔でいられているなら、
俺はそれだけでも嬉しく思う。
昔の俺だったらそんなこと考えたくもなかったくせにな。
俺のいない所で笑顔を見せるなんて、楽しんでいるなんて。
たったそんなことでさえにも嫉妬してムカついて、閉じ込めたいと思っていたほどだったというのに。
桜井の言う通り……俺は、随分と変わったらしい。