『request』短編集


(ちょっと下がった……かな?)






少しして蒼空さんの頬に触れてみる。


だいぶ、いや、ちょっとは熱下がってるかも。




もう少しで起きるだろうと予測して薬を飲んでもらう為に何かご飯を作ってあげようとした。





その瞬間、パッと携帯が光る。



それは枕元に置いてある携帯。

蒼空さんが眠る隣。





目立つように光るものだから、目線は自然とそっちにいってしまって─────






『昨日は傘ありがとうございました!!!助かりました!!!今度お礼させて下さい!!!』






その文は蒼空さんが言っていた傘を貸した後輩だろう人から。





(葵……?)





と、名前もハッキリ見える。




葵って………女の人、だよね?




確証は無いけれど、

女の勘というものは当たるもので。






「葵……」






蒼空さんの言う後輩を勝手に男だと勘違いしていた私はまだまだ詰めが甘い。





私の職場にも男女共にいるんだから、蒼空さんの職場にだって女の人がいるのは当たり前。





そう、分かっては、いるけど……


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