『request』短編集


「……逆に、俺がここにいて大丈夫?」


「えっ!?」


「葵さんも気疲れでここにいるんでしょ。1人で居たいよね?俺、別の場所探すし素直に言ってくれていいよ」


「そんなことない!!!!」





何故か立ち上がってしまった。


勢いのあまりに…





「わ、私も、泉くんといるとなんか…居心地が良いというか……なんならもっと喋りたいと思うし……だ、だからここに居ていいよっ!!」





恥ずかしい…!

なんか私恥ずかしいこと言ってない!?



泉くん逆に引いてるんじゃ…





恐る恐る、視線をあてれば


泉くんは私を見ていて。




目が合っただけなのにまた胸が高鳴る。






「…………そっか。

じゃあ今日は遠慮なくここで食べさせてもらうよ」


「どうぞどうぞ!!!」






まさか泉くんと一緒にランチが出来るとは。






(…嬉しい……)






こんな感情になるなんて、

私は一体泉くんをどう思っているんだろう。




一緒にランチと言っても同じベンチには座らず、ベンチひとつ分空いたその場所でパンを食べる泉くん。



この距離が私達同期としては当たり前の距離感。



だけど、私はベンチひとつ分空いたこの距離を縮めたいと思ってしまってる。





もっと近くで、泉くんの近くで。





隣に座って食べたい。



そう思ってる。








同期の泉くん

~完~


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