『request』短編集
そばにいさせて
「………………」
朝。鏡を見るとそこに映る私は酷く疲れきった顔をしていた。
クマが出来て、目は腫れぼったくて。
(今日休みで良かった…)
それだけが救いだった。
『葵さんのその気持ちは……ただ、蒼空さんに対する想いを誰かで埋めたいだけだよ』
昨晩、泉くんに否定された告白。
泉くんに対する私の想いはどうやら勘違いだったらしい。
(蒼空さんに対する想いを誰かで埋めたいだけ…)
その部分がずっと脳内をループする。
昨日の夜から、ずっと。
寝て起きて、ご飯を食べる時もテレビを見ている時も。頭の中はずっとそのことばかりだ。
(違うって、なんで言えなかったんだろう)
言えないってことは、その通りだから?
泉くんを利用して、蒼空さんにフラれたことを忘れようと…?
「っ………」
考え始めるとまた泣けてきちゃった…
止まらない涙を拭おうとティッシュを手に取るけど、昨日の夜に山ほど使ったから残り1枚になっていて。
「ざいあぐ~……」
酷い顔で外に出る羽目に。