『request』短編集
「え。泉くん……お休みなんですか?」
月曜日。
朝の朝礼でその事が知らされた。
先輩に聞くと、どうやら泉くんは昨日から熱が出ていてお休みだそう。
(熱……)
もしかして、あの日の雨が原因?
土砂降りの中走って帰っちゃったし…
(昨日から下がらないって…それって結構酷いってことだよね…?)
熱はどのくらいあるの?
ご飯、食べれてる?
薬は飲んでる?寒くない?
仕事中、ずっと泉くんのことが心配だった。
眺める方向に泉くんの姿はなくて、それがなんだか寂しかった。
目が合うことはあまりないけれど、たまに目が合えば嬉しくてニヤケちゃうんだ。
じゃあ「何その顔」って。口パクで反応してくれるところとか、私に関わってくれること自体が嬉しい。
けれど今、そこに泉くんはいない。
(大丈夫……なのかな)
気になってしまう。
今、どうしているんだろう、と。