『request』短編集
泉くんがいない今日、仕事も終業間近。
いつもみたいに先輩の輪に加わる私。
先輩達は愚痴やら飲み会やら彼氏の話で盛り上がっている中、私が考えてる事は泉くんのこと。
(電話してみる?あ、でも連絡先知らないや……)
その事を思い出してはまたテンションが下がる。
連絡先すら交換していない。
私達は、そこまでの関係。
本当にただの同期なのだと、再度知れば知るほど胸が痛む。
近づきたい。でも、近づけない。
泉くんには勘違いだと言われた。
(家に行ったところで迷惑だよね…)
私が行くとまた熱が上がるかもしれない。
風邪を引かせてしまったのも、私が変なことを言っちゃったからだ。
迷惑だと思われたくない。
泉くんを、もう困らせたくない。