『request』短編集
「そっかぁ~残念。
じゃあ本人に聞いてみよーと」
「っ!」
先輩、泉くんの連絡先持ってるんだ。
私は持ってないのに、先輩は持ってる。
教えたのかな?交換したの?
私とは交換してくれないの…?
(………ああ、そっか。泉くんは私のことをただの同期としか見てないから…)
それ以上の関わりなんて、いらないよね。
終業時間を迎えると、その先輩は足早に会社を後にした。
きっと、今から泉くんのところに向かうんだと思う。
私はというと用事があると嘘をついて呑み会には参加しなかった。
だって楽しく過ごせる気がしないから。
ずっとモヤモヤしてイライラして
想う度に寂しくなって悲しくなる。
そう分かってるから………