『request』短編集
「ごめんね泉くん…」
ベッドには少しつらそうに咳き込む泉くんがいる。
「体調悪いのに急に押しかけたり…押し倒したり……本当にごめんなさい……」
風邪を引いてると知っていながらも、風邪薬やら飲み物やら食べ物やらを何も用意せずに私は無我夢中で泉くんの家に直行してしまった。
しかも体調の悪い泉くんに突進し、挙句の果てには押し倒すという始末。
最低最悪すぎる…
「今から何か買ってくるね!何がいい!?
何食べれそう!?なんでも言って!!」
カバンを片手に持って立ち上がると
泉くんの熱い手が私の手を掴む。
「ケホッ……いい、大丈夫」
「で、でも…」
「大丈夫だから……ここにいてよ」
「!!!」
泉くんのその発言には
心臓に矢を打ち込まれたかのような
そんな衝撃を感じた。
「い、いる!いるよ!ずっといる!!」
すぐさまその場に座って何度も頷く。
すると泉くんは弱々しい顔をしながらもクスリと笑って。
「葵さん見てると…元気になれそう」
「ぐはっっ!」
「ん?」
「な、なんでもないです!!」
ど、ど、ど
どうしよう!!!!!
今の泉くんなんだか破壊力がヤバイというか…!
私の理性を擽るというか…!!
表情とか言動とか、
私の手を握ってるところとか!!
もう全部に胸がキュンキュンして仕方がないです!!