『request』短編集
「葵さん」
「…は、い……」
「俺も葵さんが好きだよ」
「っ…!」
「けど、葵さんの好きとはたぶん違う。」
細めていた目をゆっくり開ける。
ハッキリと瞳に映る泉くんは
真剣な表情で私を見ていて
ああ、フラれるんだなーっと。
そう気づいた。
でもね、後悔はしてない。
ちょっぴり悲しいけど……伝えてよかったと思ってる。
「じゃあ、これからはまた…」
同期としてよろしくね。
これ以上泉くんを困らせる前にその言葉で終わらせようと思った。
「でも」
グッと顔を近づけてきた泉くんがその言葉を遮る。
「俺はそのうち葵さんのことを恋愛として好きになると思う」
冗談で言ってるはずも
嘘をついているようにも見えなくて
「その時まで待たせてしまうかもしれないけど…」
私の顔を覗き込むと
「待っててくれる?」
見つめ合いながらそう言った。