『request』短編集
そんなチビで鈍臭いコイツも高校を卒業したみたいで、
「ゲッ」
「………………」
大学でチビ(月姫)と遭遇した時は俺も「ゲッ」と言いそうになった。
このチビ……俺と同じ大学を受けたのか。
大学に進学するとは聞いていたけど、どこの大学なんてことは興味が無かったから聞いていない。
コイツもたぶんそう。
俺がこの大学に通っていることを知らない。
俺は既にこの大学の4回生になっていて、来年卒業するからもうどうでもいいことだけど。
「蒼空~?どーしたの?」
「………いや、なんでもない」
華に呼ばれてチビと会話することも無く、その場を後にする。
この時はまだ、
この年から俺とこのチビ(月姫)との関係が深く濃く変わっていくとは知らず。