『request』短編集
その出来事があってからか、
俺はよくその小動物を目で追うようになった。
どんな感情で追っていたかなんて今更覚えていないけど、追っていたからこそ気づいてあげられたこともあって。
「あ…、蒼空さん………」
ある男に「彼女になってくれ!」と強要されていたコイツは、俺の姿を見て酷く安心したような顔を見せた。
小さな小動物が怯えているから
「二度とコイツに近寄るな」
本能的に助けてやっただけ。
きっと、そうだと思ってた。
………が。