『request』短編集
(どどどのタイミングで行こうっ!!?)
いつものように、渡す前は緊張でいっぱいになる。今年が最後のチャンスだからか、いつも以上に手が震えて足が動かない。
そんな私にたまたま通りがかった月姫さんと、失敗作をずっと食べてくれていた男の人が
「頑張って作ったんだろ。じゃあ、渡さないと勿体ないな?」
「っ…………」
「ほら、お客さんがいない間に行ってこい」
「陽菜さん!頑張って!!」
応援と、私の背中を押してくれたから
「……はいっ!ありがとうございます!!」
震えていた手、足は
しっかりと
浅川くんのいる場所へ進められたんだ。
応援って本当に凄いと思う。
今までの私は友達にも相談せずに
1人で頑張ろうとしていたから、
こうやって今みたいに応援があったのなら、カップケーキは既に浅川くんの手の中にあったのかもしれない。