『request』短編集



(どどどのタイミングで行こうっ!!?)






いつものように、渡す前は緊張でいっぱいになる。今年が最後のチャンスだからか、いつも以上に手が震えて足が動かない。





そんな私にたまたま通りがかった月姫さんと、失敗作をずっと食べてくれていた男の人が






「頑張って作ったんだろ。じゃあ、渡さないと勿体ないな?」


「っ…………」


「ほら、お客さんがいない間に行ってこい」








「陽菜さん!頑張って!!」




応援と、私の背中を押してくれたから






「……はいっ!ありがとうございます!!」






震えていた手、足は


しっかりと

浅川くんのいる場所へ進められたんだ。






応援って本当に凄いと思う。


今までの私は友達にも相談せずに
1人で頑張ろうとしていたから、



こうやって今みたいに応援があったのなら、カップケーキは既に浅川くんの手の中にあったのかもしれない。


< 46 / 225 >

この作品をシェア

pagetop