『request』短編集
(あれ……いない。)
けれど、思っていた場所に浅川くんの姿はなくて。
「月姫さん…浅川くん今いないみたいで……す?」
元の場所へと戻ってみれば
「えっ、え!?あ、あ、浅川くん…!」
「綾瀬さん…?」
その場所には探していた彼がいて
「ああっ!用事思い出しちゃった!!」
月姫さんは気を遣ったのか、慌てるようにどこかへ行ってしまった。
その途中「まって!」と言いそうになったけど、
もう私は
(……これが、ラストチャンスなんだ。)
前に進むんだって、決めたから。