『request』短編集
「………ありがとう。でも、ごめん。」
「ううん!全然!!」
断られることは分かってた。
分かっていたけど、伝えたかったんだ。
「やっと言えてスッキリした!!」
もう後悔はない。
これで、私は、前に進める…。
言えたことにスッキリして安心したからか、涙が溢れそうになった。が、
「もしかして、1年前のあの日も……?」
「へっ!?」
浅川くんのその言葉に涙が引っ込んだ。
「お、覚えてたの…?」
「まぁ…うん。…ちょっと気になってて」
そっか。…そうだよね。
私、あの日何も言わずに逃げちゃったもんね。